小さな畑も一つの宇宙

宇宙は壮大な混沌の世界。

その実態をなかなか掴めないまま、人間は英知を働かせ試行錯誤を繰り返しながら、一つ一つを紐解いていっているのだろう。

野菜類も、そもそもは野生の植物の中から、人間が食べられるものを採種し育成してきたもの、
本来、多種多様な生態系のもとに存在していた。

全てはその相互作用の中で生きている。単一野菜を広大な土地で生育すること自体が無理なことなのだ。

無理なことを強引にねじ伏せるために農薬や化学肥料が開発され、種自体を操作することがビジネスとなっている。

これも、人間が経済社会の中で生き抜くための知恵。

本来植物は自分にとっての最適地に根付き、その群落の相互作用の中で種の保存をしてきている。

福岡正信さんの世界だ。

野菜作りは、自分の小さな空間で、太陽・月・空気・雨・風・土などの全てが関わり合い
命を育む様子を間近で体感する。

なかなか壮大で奥深い世界だ。

土と共に生きる人がナチュラルに哲学的なのはそういうことだろうか。

自然界では、荒地に最初に根付くことができるのは、空気中の窒素を固定し、岩石からミネラルを取り出すことのできる根瘤菌や菌根菌などを共生した豆科の植物。

それと、フランキュアという方線菌の一種を共生したハンノキ。

豊かになった土壌にいろいろな植物が根を下ろし、淘汰を繰り返して植物の種類が次々に変わっていく。

人の手が入らないと、ブナとクマザサの白神山地やシイやカシなどの照葉樹林帯のような極相(これ以上植生が遷移しない状態)となり、病害虫の発生など問題にならない安定した生態系になるとされている。

壮大な地球の営みのなかの小さな畑。


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