福岡正信さんの「泥団子の玉手箱」単に農業の方法論ではない。

福岡正信さんは自然農法の創始者として広く認知され、その農法が実践的ではない、無肥料と言いながら鶏糞を使っていたなどの批判を目に耳にすることが間々あるが、そこではない。

最後の御本だと思うが、「神と自然と人の革命」が平成4年に自費出版(多分)されている。副題が「わら一本の革命 総括編」

その冒頭に

この書は 人が
神に還る ため
自然に還る ため
人に還る ため のものである。

という言葉が記されている。

第一章は「神とは何か」

神は、山川草木そのもの

野の花におく朝露のきらめき
朝霧に濡れた陽光に輝く木々の緑
夜明けの小鳥のさえずり・・・

そのすべてが神。人智の有無を超える

「自然を守る」「自然を壊す」という言葉が存在する時点で自然と人間が相対峙している。

人間が自然と乖離(かいり)し、自分たちに都合の悪い自然草木や生き物を敵とみなし淘汰していく様に危機感を持って警告している。

人間は愚かな知恵を振りかざして、神を探索する必要も、見えない神を求めて祈ることもない。目の前の一本一草を神と信じて自然の赴くままに自然の摂理に従って生きていればよかった。

福岡さんの「無為天成」の哲理は、自然農法の「泥団子を蒔く」ということに集約されている。

人間は結局何の真実も知り得ない。知り得る立場に立っていない動物である。人間は一木一草に指一本触れてはならなかった。科学はどこまで行っても真実は知り得ない。

今、人間社会は高度な文明社会を築きながら混迷を深め騒然としている感がある。おごり高ぶった人智は、経済・科学万能社会を作り危機的状況にまで人間を追い詰めている。

人間は生まれ落ちた場所で思考を植え付けられ、人間社会の中でそのルールと思惑の中で生きていかなければならない現実もある。ただその世界がすべてではない。

人間を含めたこの地球の営みの不思議を、科学では決して解明できない自然の摂理を畏れて生きなければならない。

粘土団子の玉手箱

20年以上も前になるだろうか、福岡正信さんの山を訪ねた。よく晴れた穏やかな春の日。花々が咲き乱れ、鳥が飛び交い、時々風が吹き抜ける小高い山はまさに桃源郷。喜びに溢れた場所だった。

囲炉裏端で開口一番の言葉は火箸を指差し「ここに意識はあると思うか}であった。

その時に、「今まで泥団子の作り方を息子にも教えてこなかったが、これからは、作り方も含めて広めていかなければと思っている」ということで頂いたのが、「粘土団子の玉手箱」というA5サイズの印刷物である。

庭先で野菜の種まきを始めてから、あの泥団子の作り方が欲しくて探していたが、どこにしまったか思い出せず、すっと気になっていた。そのカードが今日見つかった。

普及したいとおっしゃっていたし、そのカードをそのままアップしようと思っていたが、無断転載禁止表示がついていたので残念。小さいカードのようなものなので、情報量も少ないが、さわりをちょっとだけ紹介すると、

1,泥団子に使う百種の植物名。樹木・果樹・野菜・穀物・緑肥・砂漠用のそれぞれの代表的な植物7〜8種類の名称。

2,ここは広く知られている自然農法の基本が書かれているが、補足部分を紹介したいのであえてUP

①耕さない(大地を耕すが文明の始まりだが、これが人類の大失敗のもと)

②肥料はいらない(地球誕生の時、粘土は無限の生命の母として最初に出現している)

③農薬はいらない(多種混成の森や畑には病菌や虫はいても調和がとれて害はない)

④草も取らず剪定もしない(草は草が片付け、人が手を加えねば、植物は自然系になり剪定する必要はない。人が作るのではない、全ては天がつくる)

3,泥団子の秘密

4,どこに蒔く 〜 家庭菜園やベランダ、道端・河原・荒れ地の雑草の中に撒き散らす。砂漠緑化には航空まき。

ベランダでの培地の作り方が補足してあるので紹介すると、「家庭の生ゴミに古新聞を混ぜ、容器に入れて3回煮沸すれば、土や水苔、堆肥の代わり、無菌の培地ができる。ここに団子を蒔く。キノコも栽培できる」とある。

5,いつ蒔く
季節の変わり目が一番いいようだ。春まきと秋まきの時期と同じかな?

6,どうなる
一年目 一雨一雨で団子から芽が出て、草と共存して、にょろにょろ育ち、花が咲き、実が熟してもなるべくそのままにしておく。
二年目 小鳥や虫が、実を食べ散らすので種のまき直しができ、自然に敵地に適作ができ、自然の姿になる。
三年目 自然が自然に百点満点の作物を作り、自然農園を完成してくれる。

7,どうする
いま地球は緑も水も空気も大ピンチ!愛と命の玉手箱、粘土団子を必要としている。

全部を紹介できないのが残念だが、福岡さんの本を読んだり、映像を見ていればでてくるような内容だと思う。

ちなみに、私は読みやすいし、らしいのでずっと「しょうしん」さん読みだが、この時点では、この「粘土団子の玉手箱」にも、平成4年に出版された「神と自然と人の革命」にもあえて「しょうしん」とかながふってある。

「しょうしん」に変更したとおっしゃっていた。

「神と自然と人の革命」この本は今流通していないようだ。

私はこの時に求めたのだが、ちょうど在庫がなかったので、福岡さんが落書きしているとおっしゃっていたものをそれがいいとばかりに頂いてきた。でもところどころしか読めない。


自然農法 わら一本の革命


緑の哲学 農業革命論: 自然農法 一反百姓のすすめ

昨日も93際のときの映像を見ていたが、普及のためのいろはカルタを作られたようで、このままでは地球が危ないという危機感と、なんとかしたいという意志、日本の役にも立ちたいという気持ちが見て取れる映像だった。

私は、ようやく粘土団子が役に立つ時代がきたと思っている。どこでどういう火がつくのか?楽しみ。


無〈3〉自然農法


緑の哲学 農業革命論: 自然農法 一反百姓のすすめ
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