野菜の分類と相性。「科」別の特徴と相性を把握しよう。

レイズベッド

最近、菜園作業をする中で頻繁に必要になる知識が植物の相性と場所の選び方。そういうことが、いちいち資料で確認しなくても、ざっくりと頭の中に入っていると便利だなと思うことが頻繁にある。

というのは、狭いスペースの中に多品種を育てようとと思うと、どストライクのコンパニオンプランツというよりも、「相性悪くないよね」程度の組み合わせで入れ込んでいくことのほうが多くなる。

始めたばかりの自然農では、成長ままならないということが多いので、少しでも元気に育ってもらうために、土質や日当たり湿度などその植物に適した場所を選びたい。

今ある野菜類は、世界各地に自生していたものを、人間の食べ物として改良しながら世界中に広まってきたもの。

そこで、そもそもどういう場所で自生していた植物なのかを知ることが、大まかな植物の特性を知る上でも有効である。

植物学による野菜の分類

大きくなりだしたかぼちゃの実

野菜は、植物学的な特徴に基づいて科別に分類されている。

一般的に形態学的な特徴〜植物の形や構造〜や生理学的な特徴〜生育環境や栄養摂取方法〜に基づいている。

なので、科別の特性や相性を把握しておくことも、様々な場面での判断に役立つ。

下記に植物の科目とその特徴、それぞれの相性を表にまとめたので、育てる際の場所決めや環境づくりに役立てば幸い。

野菜の科目とその特徴、被害を受けやすい病害虫一覧

「科」はそれぞれ複数の「属」に分かれているが、複雑になり混乱するので、属分けはなし。植物名は一例。

科目植物名
・その特徴
・かかりやすい病気
・被害を受けやすい虫
アオイ科オクラ・モロヘイヤ・綿・ハイビスカス・フヨウ  
・大きくて華やかな同じような花を咲かせるのでわかりやすい。カカオやドリアンもアオイ科でオクラと同じトロロアオイ属。粘液質の物質を含むのも特徴
・褐斑病・苗立枯病・モザイク病・
・毛虫・イモムシ類・ワタアブラムシ・カメムシ・
アブラナ科白菜・キャベツ・水菜・小松菜・チンゲン菜・ターサイ・高菜・クレソン・大根・カブ・ラディッシュ・ブロッコリー・カリフラワー
・日常的に食べる野菜の割合が圧倒的に多いアブラナ科、特徴的な辛味や苦味成分が健康や美容に幅広い効果があるとされる。肥料食いの作物
・根こぶ病・モザイク病・萎黄病・白さび病・黒腐病
・アオムシ類・コナガ・ヨウトウムシ・アブラムシ類
イネ科とうもろこし・小麦・大麦・米・サトウキビ
・とうもろこしは南アメリカ原産。
・いもち病
・トビイロウンカ・斑点米カメムシ類・ニカメイガ
ウリ科きゅうり・かぼちゃ・ゴーヤ・冬瓜・ズッキーニ・スイカ・メロン
多くの種類がツル状の茎を持ち果実を形成。主に熱帯に分布しており、水分を沢山含み、体を冷やす効果あり。
・うどんこ病・べと病・モザイク病
・ウリハムシ・アブラムシ・コジラミ
キク科レタス・春菊・ごぼう・フキ・ヤーコン・カモミール・マリーゴールド・
カレンデュラ
ごぼうはヨーロッパ原産、ヤーコンはアンデス地方原産
・うどんこ病・モザイク病・べと病に気をつける
・アブラムシ・センチュウ類・ヨウトウ虫に注意
サトイモ科里芋・こんにゃく芋
・汚斑病(おはんびょう)・モザイク病・
・ワタアブラムシ・イモムシ類
シソ科シソ・ミント・バジル・セージ・オレガノ・ホトケノザ
香りがよく、葉や茎を調味料や薬として使用。
・斑点病・モザイク病
・アブラムシ類・アザミウマ類・ハダニ類・コナジラミ類
ショウガ科生姜・みょうが・ウコン
多年生で根茎を持つ。多くの場合芳香を放つ。
・根茎腐敗病
・ヨウトウムシ・アオムシ・オオタバコガ・コナガ・アワノメイガ
セリ科人参・ミツバ・セロリ・パセリ・明日葉・パクチー
セリ科はそれぞれに独特の芳香を持つ。
・うどんこ病・萎黄病・モザイク病
・アブラムシ・ハダニ
ナス科ナス・トマト・ピーマン・唐辛子・パプリカ・ししとう・じゃがいも
ナス科の野菜はほとんどが果菜類。じゃバいもだけが根菜類。肥料喰いの作物。梅雨時期や高温期に発生しやすい病気に注意。
・モザイク病・疫病
・アブラムシ・テントウムシダマシ
ヒユ科2016年にアカザ科はヒユ科に併合されている。
ほうれん草・ふだん草・ビート・スイスチャード
・炭疽病・べと病・モザイク病・褐斑病(ビーツ/高温多湿)
・ヨウトウムシ類・シロオビノメイガ・コナダニ類・アブラムシ類・ネキリムシ類
ヒルガオ科さつまいも・空芯菜
・ツル割れ病・立ち枯れ病・サツマイモ基腐病
・イモキバガ・コガネムシ類・センチュウ類
マメ科インゲン・枝豆・さやえんどう・スナップエンドウ・そら豆・大豆・落花生
マメ科の特徴は、根に「根粒菌」という細菌が共生しているため、空気中の窒素分を土中に固定する働きがある。窒素過多になると病害虫の発生を増加するので注意が必要。
・モザイク病・立枯病
・アブラムシ・カメムシ
ユリ科分類体系によりヒガンバナ科とするものもあり。ここではユリ科とした。
ニラ・ネギ類・ニンニク・アスパラガス
・萎縮病・さび病・べと病
・アブラムシ・アザミウマ・ネダニ

科別の相性のいい組み合わせ、コンパニオンプランツ

バジル

科別の相性を把握し、ざっくりとした傾向を頭に入れておくと、実作業の場面で活用しやすい。野菜だけではなく花や樹木、雑草類との相性も把握できる。

コンパニオンプランツには
・病害虫を予防
・生育促進・収穫量・味の向上
・養分供給
・空間の有効利用
などの効果がある。

その要因は
・香りや分泌物による害虫忌避、
・養分、水分などの必要量の多少
・日当たリを好むか日陰を好むか
。深根型か浅根型か
など、相反する性質を持った植物同士が、お互いを補完したり邪魔しないという意味で相性がいい。同じような環境を好むという点で相性のいい作物もある。

科別の相性一覧

アオイ科キク科
シソ科
ユリ科
・オクラでは、アブラムシ対策にバジル・ニラ
・ネコブセンチュウ対策にマリーゴールド
ナス科はネコブセンチュウを増やす
セリ科
アブラナ科キク科
シソ科
セリ科
ユリ科
・キク科・セリ科との混植がが害虫防除効果あり。
・カモミールは生育促進
・マリーゴールドはセンチュウ対策
イネ科ウリ科
マメ科
・イネ科とウリ科は空間利用で相性良し。
・養分吸収能力が高いのでマメ科との相性も良い
ウリ科イネ科
ユリ科
・イネ科のとうもろこしは防風
・ユリ科のネギ類で病気対策

シソ科
ナス科
キク科アブラナ科
ウリ科
バラ科
キク科とアブラナ科は相互有益
シソ科
アブラナ科
ナス科
ナス科のトマトとシソはお互いの害虫を遠ざけるウリ科
ショウガ科どちらも日陰・水分を好む点で里芋との相性良し。
ナスとはお互いの害虫同士が忌避し合う。
セリ科アブラナ科
マメ科
セリ科には独特の香りで害虫忌避効果があるが、アブラナ科は人参の害虫キアゲハを忌避させる。
ナス科シソ科
セリ科
マメ科
ユリ科
シソ科・セリ科と混植で害虫忌避
マメ科との混色や後作で養分供給・生育促進。落花生は、ナス科の母親的存在
ユリ科(ネギ類)の根に共生する拮抗菌が分泌する抗生物質が土壌病原菌を減らす。
ウリ科・アオイ科はネコブセンチュウ増加
ヒユ科ユリ科(ネギ類)ネギ類 ほうれん草の硝酸を減らしえぐ味が抑えられる。ネギの根の拮抗菌が特定の病原菌も抑える。
ヒルガオ科シソ科
マメ科
赤しその赤い葉色が、サツマイモのアカビロウドコガネを忌避するし、過剰な肥料分を吸ってツルボケを防ぐ。
マメ科のクロタラリアはネコブセンチュウを減らす。
マメ科とは敵地が似ている。
マメ科イネ科
セリ科
ナス科
イネ科を混植するとセンチュウを増やさない
ナス科とは根張りが違うので鑑賞しない
ユリ科
ユリ科アブラナ科
ウリ科
ナス科
マメ科

個別の作物のコンパニオン・プランツはこちらの記事へ。

コンパニオンプランツとは?相性の良い作物との混植で共育ち!
コンパニオンプランツは、限られたスペースを有効に活用して、多品目の作物を収穫したい場合には必須の知識です。家庭菜園の限られたスペースでも、多くの植物を上手に混植することが、生命力に溢れた美しく美味しいポタジェづくりの柱となります。
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