農法種類、何がどう違う?慣行農法から自然栽培まで農法7選。

農法とは、端的に言えばどんなやり方で作物を育てるかということだが、どういう方法を選択しても、結局は、実践しながら、記録しながら、個々に試行錯誤しながら、その場にあったやり方を確立していくしかない。

肝心なことは、そのやり方で作物を栽培し続けて、50年後、100年後も収穫し続けられるのかということ。土が自然循環の中で生命力を維持できるのかということだ。

その問いかけを常にしながら農に向き合いたい。

現在の一般的農法3選

慣行農法

農業のやり方にもいろいろあり、一般的に多くの地域で多くの人が行っている農業のやり方を慣行農法という。時代により変化するもので、江戸時代であれば農薬や化学肥料はなかったわけなので自然栽培ということになるだろう。

今現在の慣行農法といえば、土を耕し、化学肥料と農薬を用いた農法を指している。農林水産省の許可を受けた農薬と化学肥料が流通しており、それぞれ対象となる農産物や使用回数が定められている。

多くがこの農法を採用するメリットとしては、主に品質や収穫量の安定農家の作業量軽減がある。特に日本は均一的で見た目のきれいなものを選びたがるし、甘みを好むに傾向にある。

デメリットとしては、自然界の生態系を無視したやり方といえる。土壌汚染で昆虫類・微生物の死滅、水の汚染で水生生物の死滅、魚への影響。大気への影響が考えられる。

人間の健康への懸念。農産物自体の質の問題も大きい。

これらの多くの問題は、はっきりと目に見えるものでもなく、すぐに実感できるものではなかったが、長い年月をかけて蓄積した結果、地球自体の存続までもを脅かす問題として顕在化している。

それでも、多くは問題認識がない。

特別栽培

その化学肥料と農薬を一般的な慣行栽培の50%以下に減らした栽培法が「特別栽培農産物」と表示できる。有機栽培で使われる農薬は対象外である。

また、農薬・肥料を全く使わなかった場合の表示は「不使用」と表示するよう決められている。

有機農法

有機栽培は、日本の法律で以下のように定められ、JASや第三者機関によるチェックが行われている。

有機農法とは、化学的に合成された肥料・農薬を使用しないこと。
遺伝子組み換え技術を利用しないことを基本としている
農業生産による環境への負荷をできる限り低減する。

ただし、農薬・肥料を一切使用していないということではなく、有機JASや農林水産省で定めた農薬や肥料・土地改良剤は数十種類はあり、回数制限もないとされている。有機認証農産物=問題なしというわけではない。

「自然」がついた農法4選、違いは?

その他にもたくさんの農法があるが、家庭菜園で自家用に育てる場合、最近では化学肥料や農薬を使いたくない、動物性のものも使いたくないという人たちも増えてきて、自然農法、自然農、自然栽培などの言葉が飛び交うようになった。

「この違いは何?」と思っている人も多いことだろう。

これらには提唱者がいる。それぞれの農法を端的にざっくり記すと、

自然農法 岡田茂吉

宗教家でもある。「美味しい野菜を作り収穫量を増やすための肥料が土を汚すとして「MOA自然農法」を提唱した。基本的に耕すことはしないものの野菜残渣から作る植物堆肥の活用を奨めるなど人の手も入る。自然の摂理と能力に委ねた農業のやり方ではある。

「MOA自然農法ガイドライン」が設定されている。

自然農法 福岡正信

粘土団子ばらまきに象徴される。不耕起・無肥料・無農薬 、無除草を基本として、人の手を加えない自然に委ねたやり方である。

著書「わら一本の革命」は世界中で読まれ、インド、東南アジア、アフリカ、アメリカなどでは粘土団子による砂漠緑化に貢献。マグサイサイ賞など複数の賞を受賞。

福岡正信さんの「泥団子の玉手箱」単に農業の方法論ではない。
20年以上も前になるだろうか、福岡正信さんの山を訪ねた。その時に、「今まで泥団子の作り方を息子にも教えてこなかったが、これからは、作り方も含めて広めていかなければと思っている」ということで頂いたのが、「粘土団子の玉手箱」というA5サイズの印刷物である。

自然農 川口由一

福岡氏の流れをくみながら、適宜補助していくやり方。「耕さず、肥料・農薬を使用せず、草や虫を敵としない」自然に任せて手出しをしないことが原則ながら、原則に囚われすぎず、状況により補いも許容している。川口氏主催の「赤目自然農塾」で学んだ人も多く、広がりがある。

自然農の始め方はこちらの記事で。

土壌診断は生えている草で!日当たりや土質で全体設計!自然農の始め方。
自然農では草も収穫を終えた作物も根こそぎ取ることはしない。根はできるだけそのままの状態で残し「耕して肥料を入れてふかふかな土にする」を微生物に委ねる!

自然栽培

無農薬・無肥料を基本とする栽培法。木村秋則 氏が 提唱者というわけではないが、「奇跡のリンゴ」で自然栽培という言葉を使われたことで広まった感もある。

慣行栽培・有機栽培・自然農のどの枠にも入らない、無農薬・無肥料(もしくは化学肥料不使用)にこだわる栽培法を表現する言葉にもなっている。 既成の定義がないので、最近は特に「自然栽培」と唄う人が多い。

まとめ

営農の場合はなかなか難しいところもあるが、家庭菜園で自家用に作る場合は自己完結なので自由にできる。ただし、周囲の農家などへの配慮は必要。

おかれている環境や土の状態など、それぞれに条件は千差万別。自分の状況や興味にあったやり方で野菜づくりを行っていきたい。

実践〜改善〜実践を繰り返しながら自然界の摂理にそった自分なりのやり方を確立させていくというのが家庭菜園の醍醐味でもあるだろう。

我家の芝生だった庭は地力がなさすぎるので、何も手を加えないで4〜5年待つという訳にもいかないが、無農薬・無肥料・不耕起を柱に、状況により適宜手を加えていく川口さんのやり方をまずはお手本にしながら、パーマカルチャー的思考も頭において様子を見ていきたい。

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