昨日、興味をそそるタイトルに目が止まった。
ん?土が解決する?常々自分が思っていることじゃない!とばかりに読み進めた。
東洋経済ONLINEの1月21日付けの記事。
昨年末、「ルポ 食が壊れる」を出版されたジャーナリスト・堤未果氏のインタビュー記事である。
気候変動問題がいよいよ抜き差しならないところまで進み、世界的にSDGsが叫ばれている昨今、肉食をやめようという流れが世界各国で広まっている。
強硬策に出ている政府もあるらしい。
人間は一体どこに向かおうとしているのだろう。ひたすら利益の追求に走り、大量生産・大量消費を繰り返し、問題に追い詰められると、手のひら返しのように排除に向かう。
そして代替品としての人工肉や、様々なバイオ野菜・魚、遺伝子組み換え作物など話題に事欠かない。食糧危機を解決する手立てとしている。
効率よく大量生産するという思考は、自然循環を無視して本来の生命力を失わせ、大量の化学物質に頼らざるを得ない状況にするということ。
テクノロジー万能思考は、今度は、人間に向かっている。
そういう危機感を持った人たちが多少とも存在することが救いではあるが、大きな波のもとでは飲み込まれてしまうのだろう。
そうであっても、可能な限り大きな波になるよう主張していくことは大事。
リジェネラティブ・アグリカルチャー(環境再生型農業)への動き
日本には古来から、自然とともに有り、その恩恵をいただくと言う精神が流れている。
福岡正信さんが「自然農法」を提唱し、川口由一さんが、「自然農」としてその流れを実践的に普及され、その教えを頂いた方たちが全国に存在する。
日本の自然農からみると、「リジェネラティブ・アグリカルチャー」は中途半端な気はするが、産業としての農業では難しい部分も多い。それでも、農業・畜産を自然循環の中に組み入れていこうとする動きは歓迎すべきものだ。
福岡さんが言われていた、「4年も手を加えなければ、自然は再生する」という事実は、経済の上にある農業では難しいことだが、空き地や放棄地などであれば可能である。
そういう世界中の空き地に泥団子をまいて、適材適所に植物が育つようになれば、CO2の問題にも随分貢献するのではないかと常々思っている。
真実はシンプルだが人間社会はそれを許さない。
経済の大きな波に飲まれ、危うい方向へ進みがちな世界だが、国土が狭く、大規模化できないことが幸いして、日本は個人規模で、自然のサイクルを理解し、実践している人たちも多く、今また、自然農で自家菜園を目指す人口も一気に増えつつある。
個人の力を最大限にして結集し、人間を幸せな未来へ。
人間の体は食べるものが大きく作用する。
土の肥沃度で世界のトップは日本の土らしい。
日本には発酵文化が根づいている。発酵食が何故体にいいかというと、ざっくり言えば、たくさんの微生物が体に住み着くから。
土も同じで、たくさんの微生物が育つ環境が、栄養豊かで力強い土となる。
その環境とは、人間が手出しさえしなければ、すでに完全な形で備わっているものなのだ。全ては循環。
人間は様々な植物の中から食べられるものを選び、その植物を栽培し食すことで健康を維持してきた。家周りに家族が食べるだけのものを栽培する。というのが原則。
しかし、食産業が経済に飲み込まれ、近代農業革命で大規模単一栽培という流れに至っては、自然循環を無視した効率一択の道を進んで今に至っている。
自然循環、それは虫も鳥も動物も植物も・・・あらゆる生物がかかわり合う世界。雑草や害虫など人間の勝手な言いようで、排除すべきものなど存在しない。そして光と雨と気。
地球は、ありとあらゆるものの関わり合いの中でいきている。