土壌診断は生えている草で!日当たりや土質で全体設計!自然農の始め方。

本題に入る前に一つだけ確認事項がある。自然農に向かない土地というのがある。

鍬を入れて、表土から20cmにも満たないところで鍬が入らないガチガチの硬い土であれば、自然農にはむかない。有機肥料などで土壌改良しながら種を蒔き、徐々に移行していくことになる。長い時間が必要。

大量の畑の土が手に入るようならば、30cm程の高さの畝を作ることで、うまくいくのかも知れない。

自然農は「耕して肥料を入れてふかふかな土にする」を微生物に委ねる!

自然農とは川口由一氏が実践し、川口氏に師事した人達によって広がりを見せている農業のやり方である。

・耕さず
・肥料・農薬を用いず
・虫や草を敵としない

という原則に従い、できる限り手を出さず、自然に委ねた持続可能な農業を目指している。

福岡正信さんの自然農法を現実に引き寄せたやり方で、「何も持ち込まず 持ち出さない」が原則でありながらも、自然の邪魔をしない作業と、状況によっては少量の補いも許容している。

そこにあるもの、雑草・虫・微生物などを活かしながら発酵と分解の層を作り、森の自然循環を畑で再現するようなメージ。

自然農では草も収穫を終えた作物も根こそぎ取ることはしない。根はできるだけそのままの状態で残し、イネ科の繁殖力が旺盛で土中深く根を張るものは、土の表面近くの赤い部分=成長点の下で切り取る。

刈り取った草をマルチ代わりに土の表面に被せて乾燥を防ぎ、通路において微生物や虫の住処をつくり、根を残すことで土中に空気の層を作り、微生物の繁殖を促すわけである。

つまり、慣行農法の「耕して肥料を入れてふかふかな土にする」という作業を、根を残すことで微生物に委ねるということ。

自然農に取り組む場合は、少し気長におおらかに構えながら、徐々に精度を上げていくことが必要。

これから野菜や果樹、ハーブ類などで食べる庭づくりをするわけだが、しっかり作り込むには時間がかかる。特に自然農の場合、即効の肥料や農薬を使わないし、知識や自然を見極める力も乏しいので、最初の1〜2年は不出来な状態が続くかも知れない。

でもがっかりしないで、少々気長に、観察眼を養い、丁寧な仕事を積み上げていくことが必要だ。

土地の条件は千差万別。それぞれの条件下で試行錯誤するしかないが、菜園仕事を始めてみると、「農業は最初の数年は紙の上で」と言う言葉に至極納得する。

なにかやろうと思う度に、スムーズに事が運ばない。どんな仕事もそうだが、ここでも段取りが必需である。

土壌診断〜生えている草の種類で判断できる

ここでは、基本的に一般的な家屋に付随している庭を想定している。家周りの空いている隙間の土地を、食べられる植物でいっぱいにして、しかも、庭として美しいものにしようという試みである。

現状での土の状態、肥沃度やPH、水はけ、水持ち、日当たりなどをよく観察する。生えている草でも土の状態を把握できる。

自然農では基本的に耕したり肥料を与えたりはしないので、現状にあった作物を選び、育てながら徐々に地力を上げていくことになる。

最初のうちは思うような収穫が見られないかもしれないが、植物が土を育てるので、徐々に手のかからない肥沃な土に育っていくという状況を作る。

うちの場合であれば、ホトケノザが群生している部分、芝生を剥いだところでは砂が大量に入っていて、草一本もない土、芝生の中にイネ科の細い葉が群生し悩ましい部分、スギナの群生部分など狭い土地ながら様々な状況があった。

荒れ地

ススキやよもぎ・セイタカアワダチソウ、クズなどが生える土地はいわゆる荒れ地。雑穀系のそば・アワ・キビ・えごまなどはよく育つのでこれらを育てながら地力をあげていく。

酸性度が強く痩せた土

スギナやドクダミ、シロツメクサなどの多いところは酸性が強く痩せている土地で、さつまいも・枝豆・大豆・麦類が育つ。

中性寄りで多少の養分もある

カラスノエンドウやスベリヒユなどが生えている部分は野性味のあるもの、ミニトマト・ケールやサニーレタスなどこぼれ種で生えてくるようなものはよく育つといわれている。

うちでもこの部分にはこぼれ種のミニトマト・かぼちゃ・シソがよく育っている。

中性で肥沃な土

最後にナズナ・ハコベ・ホトケノザなどが生えている土地は中性で有機物や窒素分もあり肥沃な土地。無肥料でも問題なく野菜全般を育てることができるとされている。

全体設計〜日当たりや土質などから大まかな植物配置を決める

全体的な土の状態を見極めたら大まかなイメージ作りをする。

その場合、玄関周りには、鑑賞する庭としての機能を重視し、日本的な庭を目指すのであれば食べられる山野草や梅やすだち、ゆず、キンカンなどの柑橘類など和の果樹を、洋風の庭を目指すのであればハーブ類やレモンやオリーブなど洋風の果樹などを想定する。

台所に近い勝手口付近には、日常的な摘み菜類、サラダに使う野菜、ネギ・パセリ・にら・ハーブ類などを配置する。

日当たりの良い比較的大きなスペースを取れる場所は季節の菜園とする。

木陰など日当たりが良くない、湿度があるなどの場所には、フキやミョウガなど日陰で湿度を好む宿根草を植えておくと季節感を感じられる食卓になる。

庭先に備えておきたいもの3選

コンポスト

せめて生ゴミだけは自宅で循環させたい。「コンポストキエーロ」がベストである。

特に自分で育てたものは皮であろうとヘタであろうと愛おしいもの。堆肥化させてまた土に戻ると思えば小さな喜びとなる。

堆肥化BOX

これもキエーロとほぼ同じ物だが、もう少し大きくて深めの箱型で、蓋で密閉できるようにしておく。

キエーロは好気性で菌を育てるものなので通気孔があり、蓋は光を通す透明カーボネートだが、堆肥化BOXは嫌気性で菌を育てるので密閉し、光を通さない蓋をする。

これは落ち葉や木の枝など発酵速度の遅いものをを完全堆肥化し土に戻すためのものとする。

育苗スペース

育苗して定植する手間をかけたくないので、すべて直まきにしようと思っていたが、やはり、直まきでは発芽しにくい種があることや、前作との兼ね合いで、もう次の種を蒔く時期なのに前作の野菜の収穫が終わらないなど、狭い場所で多品種栽培しようと思うと時期の重なりが多発することに気づいた。

同じ土で育苗できると植え付け後の成長もいいはずなので、できれば菜園の一角を育苗スペースにしたいが、場所が取れない場合は軒下などでも可。

畑の一角を使う場合は、簡単な霜や寒さよけができる仕立ても用意しておく。

まとめ

以上、自然農を始めるにあたってのポイントを記した。

自然農法をはじめてみると、営農で日々多くの野菜をコンスタントに、見た目も美しく供給して頂いている農家の方々の苦労に思い至る。

F!種も農薬や化学肥料も一概に悪と見るわけにはいかない。その恩恵を長い間受けてきている。

ただ、家庭菜園においては、一切の縛りがなく、ある意味気ままなものなので、自由に思うがままに実験できる。

自然農では、まず、観察することから始まる。「持ち込まず、持ち出さず」の基本姿勢を常に頭において、自然に寄り添い、少々気長におおらかに関わっていきたい。

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