小さな庭に土壌の自然循環を取り戻す!自然農でポタジェ作り。

左下の箱は、手作りしたコンポストキエーロ

田舎の戸建てに住み始め、長年先送りにしていた家庭菜園を始めようと段取りしている。

ただ70㎡程度の庭は、半世紀以上前の日本庭園で、ベースは芝生の状態。紅葉やつつじ・松などがメインで、厄介なのは周囲を囲むように植えられたカシの木。しっかりスペースを取られている。

上の写真は2022年3月。周囲の庭木はそのままに、真ん中の芝生の部分を菜園化する。

芝生を剥ぐと大量の砂がでてきた。一度芝生を剥いで砂を入れたようだ。自然農で行こうと思っているので、土を触りたくはないが、土の量も全然足りない。

出処のわからない土を大量に入れ込むのも嫌なので、とりあえず腐葉土や黒土などを多少入れ込みながら畝をたて、通路分の土でなんとか種をまける状態にしたのが上の写真。

草も生えていないので、草マルチをすることもできない。これは、自然農でまともな収穫を得るには数年かかりそうだ。

疲弊した土壌を自然循環の中に取り戻すにはどうする?

長年、根こそぎ草刈りをされ、落ち葉もゴミに出され、丸裸にさらされていた土は疲弊した状態だった。

周囲の庭木も辛うじて生きてはいるものの虫害も多く元気がない。

腐葉土や肥料を土に混ぜ込んでいけば手っ取り早いのだろうが、なるだけ自然な形で時間をかけて進めた方が、自然の循環に戻すという目的にはベストの選択だと思っている。

自然農でも「米糠と油かすを同じ割合で混ぜたもの」と、それを発酵させた「ぼかし」は補いとして使う。

土の中は触らず、表層にそれらを薄く巻いて草でカバーをする。そうやって腐食層を重ねながら、タネをまきながら微生物を増やしていく。

まずは、草の生える土にしなければ始まらない。

土壌を自然循環の中に取り戻すには、不耕起=耕さないことが肝!

自然農法、自然農には不耕起が明記されている。ここが要なのだ。

草を刈る場合は、根は残し上部だけを刈り取る。刈り取った草は細かく切って土の上に置いてカバーをする。

最近は、黒いビニールでマルチをした畑が多いが、ビニールではなく草のカバーをし、腐植させて微生物の住処として堆積させていく。

一度畝立てをした後は、土の中を触ることはない。

土の中では、植物や動物の排泄物や死骸など様々な有機物が、菌類や微生物によって分解され、土壌有機物=土の中の栄養素となって植物の生育に利用されている。

と同時に、植物の根から分泌される有機物や根の一部は土壌微生物のエネルギー源となっている。

土を耕すということは、これらの自然環境=微生物の住まいを根こそぎ壊す破壊行為であり、自然の循環を断ち切ることでしかない。

そもそも、フカフカの栄養豊かな土壌は、微生物が作り出す聖域。人間のテリトリーではない。

人間は、既にそこにあるものをを根こそぎ壊し、そこに人工物を投入し、ふかふかないい土にできるのは人間の力だと勘違いしているだけ。

何かよくあるパターンのような・・・?!

ただ、野菜というものは、原種の植物を長い年月をかけて美味しく安全な食べ物として改良に改良を加えてきたもの。野草と同じように放っておいて育つものではない。

自然農は何もしない放任栽培と思われがちだがそうではない、特に自然農の場合は、観光農法と同じような手順を踏んでいる。

タネを巻き、間引きをし、どうしても必要とあれば、苗床を作り、水や肥料の補いをし、支柱やネットを使い・・・と、一通りの作業が入る。

何が違うかといえば、植物の状況をより観察し、なるだけ余分な手出しをしないように配慮している。

肥料投入と薬品で済ますところを自然な形で補助しようというところに難しさがある。

しかし、あるラインを超え、多種多様な生物が増え、地力がついてくればコンスタントに栄養豊かでおいしい作物の収穫が可能になるはず。

自然農で多品種・混植・密植の「食べる庭」ポタジェづくり

マリーゴールド・バジル・ミニトマトの密植

食べるための庭でありながら美しさも兼ね備えた、そんな庭をめざしている。

土壌を自然循環の中に戻し、多種多様な生物がうごめく豊かな土壌で、野菜や果樹・草花・ハーブなどが渾然一体となった家庭菜園=potager=ポタジェ!

ポタジェはフランス語で家庭菜園を意味するが、本来的にはポタージュスープのこと。

スープを作るための野菜を栽培したことに由来するらしい。

フランスの感性らしく、配色や高低差を付けた立体感、小物のあしらいなど、様々に工夫がある。

食べるだけではなく、癒やしの場としても機能する。そんな庭を、自然農でつくりあげたいと思っている。

自然農は「持ち出さず持ち込まず、耕さず」をベースに、その場にあるものを最大限活用しながら亡骸の堆積=森の循環を庭に再現するようなイメージ。

福岡さんの「自然農法」のように、種入りの泥団子を蒔いて、あとは完全に自然に委ねるやり方と違っているのは、種のまき方と手間のかけ方。手出しも補いも最小限ではあるが許容がある。

自然農はほったらかし農業と思われがちだが、自然に対する鋭い観察眼と秩序感、自然に寄り添う姿勢が必要で簡単ではない。

福岡正信さんの自然の山が忘れられず、再現したいと思い続けているが、今は住宅地の小さな庭。自然農法の真髄を踏まえながら、自然農の実践作業を参考にしていきたい。

まとめ

これからは個の時代。個々人の思考・行動が国としての全体力を押し上げるのではないか?

身の回りに土があるのなら、コンクリートで固めたり、草を根こそぎとったりしないで、自然の循環の中に戻して蘇らせたい。

土は表面を植物に覆われていることが必要で、植物が根を張ることで生き生きと蘇る。

ベランダでも極小のスペースでもいい、種をまこう!蒔くだけでいいのだ。日々の食材の種をゴミに出したりしないで土に埋めておくだけでも自然発芽するものもある。

植物が根を張ると様々な微生物が集まる。根が枯れるとそこに空気層ができ、微生物の住処となる。

人間が余計な邪魔をしなければ、多様な微生物が切磋琢磨でホクホクの栄養豊かな土を作り、栄養豊かな作物を提供してくれる。

自然農で日本の風土に適した野菜を作り自家採取する。この循環を次世代にも繋げて行きたい。

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