初めての菜園づくりで最初に必ずいわれるのが畝立て。畝って何のために作るの?ほんとに必要なの?って思いませんか?
これが、作業のための歩く道くらいに思っていたら大間違い。色々と役割があるんです。
自然農では、土壌の自然循環が完全にできてしまえば、畝がなくても作物は育つといわれます。実際、福岡正信さんの畑も、鬱蒼とした野原のような状態のところに、巨大な野菜があちこちに育っていました。
ただ、
畝の役割5つ
畝立てをすることで土の状態をコントロールし、野菜の生育を促しています。
①栽培スペースと作業スペースの区分けで作業しやすくする。
②通気性と排水性の向上 〜これは想像できますね。側面に空間があるので当然そうなります。
③根張りのスペースの確保 〜 作物は通路の下にもしっかり根を広げています。自然農では通路にも緑肥を植えたり、刈り取った草などを敷いて土をむき出しにはしません。土壌菌を育てて土作りをします。
④耕土の確保 〜我家もそうでしたが、耕土が浅い場合に有効です。出所のわからない土を大量に入れ込むのもはばかられたので、畝立てでなんとかしのいでいます。
⑤日当たり 〜高くなる分日光がよくあたり地温も上がるので、土壌微生物も活性化する。
畝の設計
畝幅
自然農では畝立ては最初の一度だけで、補修しながら使い続けます。
畝幅は、栽培する野菜や栽培方法、栽培地の広さなどによるので一概には言えませんが、輪作のことも頭において、90cm程度に統一して南北に通すというのが一般的なようです。
但し、自然農では、農薬・肥料を使わないので、コンパニオンプランツ効果を期待しての混植が多いのです。育てる野菜の種類と組み合わせをイメージしながら畝幅を決めていかないと、思うような配置ができません。作業のしやすさも外せません。
そのうえ、景観も重視するポタジェを目指すのであれば、同じ幅の畝を南北に並べるだけでは使い勝手も悪く、デザイン的にも洗練されません。
狭い庭のポタジェには、丸形や正方形などが意外と使いやすいような気がしています。
畝高
高さにより、平畝と高畝に分かれます。
水はけのいい土地であれば、5cmから10cm程度の平畝で水持ちをよくし、水はけの悪い土地であれば、10cm以上の高畝にし、水はけを良くします。
畝作りも経験が必要のようで、糸を張ってもなかなかきれいな畝にはなりません。特に高畝は崩れやすく、側面を固定するのがなかなか難しい。
畝の向き
その土地の条件により例外もありますが、南北に伸ばすのが一般的です。作物ににまんべんなく陽が当たるようにするためです。
傾斜地であれば、等高線上につくることになります。
通路幅
これは菜園の広さによるところが大きいのですが、40cm以上は欲しいところです。
ある程度広さがある方が作業がしやすいことは間違いないのですが、狭い庭ではそうもいきません。
ポタジェの畝立て
フランス語で「ポタジェ」と言われる家庭菜園は、果樹と野菜とハーブが渾然一体となった食べるための庭でありながら鑑賞性も重要視しています。
コンパニオンプランツといわれる、一緒に植えるとお互いの生育にとってプラスとなる植物を組み合わせながら混植していくので、いわゆる畑の直線的な畝立てとは異なり、曲線も多用した自由な設計!
狭い庭の菜園にはより適した、作業の楽しさが倍増する手法と言えます。
畝立ての手順
畝設計ができたら畝作りの作業。
慣行農法ではここで一度深く耕し、肥料などを入れ込んで土作りをしますが、自然農では耕すことはしません。
①畝立てする場所の草の地上部をノコギリガマで刈っていく。刈った草はひとまずよけておく。
②草の種が落ちてたりするので表土を軽く掻き出しておく。
③畝幅と通路巾に紐を張り、紐に沿って剣先スコップで切り込みを入れていく。
④通路部分の土を畝の上に掘り上げていく。
⑤掘り上げた土をよくほぐし、全体をなじませレーキで平らにして仕上げる。このときに草や根っこなどの有機物が土の中に入り込まないようにする。最後に上に乗せる。
⑥よけておいたか刈り草を畝の上にかぶせて出来上がり。
このような手順で行こないます。
まとめ
畝作りは菜園づくりの基盤なので、自分の目指す最終的な菜園イメージができていないと、なかなか決まらない部分でもあります。
同じ幅の畝を南北に通すだけであれば簡単なのですが、狭いスペースを自然農のやり方で、ポタジェの感覚でとなると作物を作りながらの試行錯誤となるでしょう。
ただ、畝を度々作り直すというわけにもいきません。特に自然農では、基本的に畝立ては最初の1回だけ。、微生物の住処を壊すことになるので極力避けたいところです。
育てたい作物、そのコンパニオンプランツになるもの、連作障害、全体のバランスなど、最初によく練り上げてから着手する事が必要です。